これからエンジニアになる私達の、AIとの向き合いかた

2025-09-10

これからエンジニアになるということ

27卒はゴリッゴリのAIコーディングネイティブ

私が大学に入学してWebの勉強を始めたとき、すでにChatGPTは存在していました。私たちの世代にとって、AIとともにコードを書くことは、最近の技術革新によってできるようになったものではなく、最初から当たり前に存在していた環境です。 AIを使いこなせることは特別なスキルではなく、呼吸をするように自然であるべき習慣になっているでしょう。

  • これからの実務はAIコーディングが前提である
  • これからのエンジニアとしての喜びも苦しみも、すべてAIとともにある
  • 企業から見れば、AIを使いこなし価値を生み出しまくる人間こそが正義である

AIはただの補助ツールではなく、エンジニアの一部になりつつあるのだと私は感じています。

27卒の周りのみんなが思っていること

私の周囲でも、AIと向き合う中でさまざまな意見や感情が飛び交っています。肯定的な意見もあれば、どこかモヤモヤした気持ちを抱えている人もいます。

  • バイブコーディング(AI任せのコーディング)では学びが足りない
  • AIはシニアエンジニアのための道具だ
    • 経験と知識があるからこそAIを使いこなせる
  • AIを使うと負けた気になる...
  • AIが書いたコードが動かないとき、とりあえずやり直させる
    • エラーを貼り付け続けるだけの反復作業

こうした意見を耳にするたびに、みんな模索の段階にあるのだと実感します。

AIコーディングで行き詰まったら

私自身もAIを活用する中で「うまくいかない」と感じる場面は少なくありません。けれど、そこでただ苛立つのではなく「なぜうまくいかないのか」「どう質問すれば良いのか」を考えることこそが成長につながるのだと思います。

問題は、細分化・単純化する

AIに任せるときは、できる限り問題を小さく分解することが大切です。自分が完全に理解できる範囲にまで落とし込み、そこからAIに任せる。そうすることで「なぜ動かないのか」「どの変更が失敗を招いたのか」がはっきりと見えるようになります。

  • 自分が理解できる単位で細分化・単純化して作らせる
    • 単に細かい粒度(関数単位など)で出させるというよりも、自分が完全に理解できる範囲を意識し、そこをAIへの質問・調査を通じて少しずつ広げていく
  • やりたいこと・なっていて欲しい状態ベースでプロンプトを投げて書かせるとろくなことにならない
    • もし仮にそれでうまくいったとしても、なんでうまくいったのか、なんでうまくいっていなかったのかわからない
  • 少しずつ理想の状態に近づけていく
    • なんの変化を加えたときになんでうまくいかなくなったのかが分かる
  • エンジニアになりたいなら、理解から逃げてはいけない
    • 「学ぶべきこと」も質問して体系的な理解を心がける

理解から逃げずにAIを利用すること。それが「AIを相棒にする」という姿勢なのだと考えます。

AIの得意不得意を理解する

AIは万能ではありません。得意な分野もあれば、不得意な分野もあります。これを理解しておくことは、AIに過度な期待を抱かず、適切な使い方を見極めるために欠かせません。

  • 得意
    • モック・プロトタイプをつくる
    • 既存のアイデアをたくさん出す
    • 完全な状態である情報をまとめる、形を変える
  • 不得意
    • 狙ったものを一発で出す
    • 膨大な情報を対話の中でずっと覚えておく
      • コンテキスト・ウィンドウについて
    • 最新の情報・固有の情報・そもそも少ない情報をもとに答えを出す
      • Web検索AI・RAGは、これを補うための技術です

AIを「どの場面で頼るか」を意識できれば、無駄に振り回されることも少なくなるはずです。

AIの嘘(ハルシネーション)について

AIは人間の誤った前提を自動的に正してはくれません。むしろ誤解を堂々と肯定して、一緒に沼にはまっていってくれます。だからこそ、自分自身が一つひとつ前提を見直すことが必要なのです。AIの言葉を鵜呑みにするのではなく、自分の理解を点検する姿勢が求められます。

AIは敵ではない

AIは敵ではありません。むしろ、エンジニアの学びを支えてくれる大きな存在になり得ます。コードリーディングやOSSの理解を助け、質問し放題の環境を提供してくれる。これまで孤独に戦っていた部分を補ってくれる相棒なのです。

AIがあるこれからの時代に、あえて技術力を武器にするために

AIに慣れてくると「とりあえず動くコードを書かせる」だけでは物足りなくなります。次のステップとして必要なのは、非機能要件を意識することです。パフォーマンス、セキュリティ、拡張性といった観点も踏まえられなければならないのが、学生エンジニアとエンジニアの違いです。

また、もし機会と余裕があるなら長期の実務インターンに挑戦することを強くおすすめします。AIから学べることは多いですが、人間の経験や実務の大規模コードから学べるものは次元が違います。そこで得られるものは、AIを通じては絶対に補えない実践知です。

まとめ:私たちはAIとどう生きるのか?

AIがある時代にエンジニアになる私たちは、AIを敵視する必要はありません。正しく付き合えば、AIは未来の仕事を奪う存在ではなく、むしろ私たちの仕事を強力に後押しする相棒になります。

結局のところ、大切なのは「どう向き合うか」です。AIとともに学び続ける覚悟を持てるかどうか。私たちは、その問いを一番近くで試される世代なのだと思います。

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